我慢からは恨みしか生まれない。
私はまた、新しい体験である法律事務所に一人で行きました。
離婚すると覚悟したからには、出来ることをすべてやろうと思ったので、必ず離婚すると意気込んで行ったように思います。
まず電話予約を入れて、その予約の時間に法律事務所へ赴き、弁護士さんと面談しました。
弁護士さんは少し年配の一見優しそうな、男の方でした。
電話予約の時に「今までの経過や今後のことについて、自分の考えについても簡単にまとめておいてください」とのことでしたので、紙に書いていきました。
弁護士さんは、やはり離婚話には慣れておられ、淡々と質問をいくつかされました。
その後「それで、裁判を起こしますか?」と聞かれました。
私は「裁判で何かを訴えたいわけではなく、ただ離婚届に印鑑を押して欲しいだけなんです」と伝えましたが、
やはり当たり前ですが、弁護士さんは人生相談の場所ではなく、裁判を通して収入を得ている方です。
いくつかされた質問のほとんどが、元夫の収入に関することや財産に関すること、保険や貯金に関することでした。
私はそれらの質問に、何一つまともに答えられなかったんですが、それよりもお金に偏っている質問に疑問を感じ、裁判に対する気持ちが冷めていくのを感じました。
帰りには、裁判に関する手続きの説明を受け、自分の気持ちもハッキリと定まらないままサインもして、1週間くらいで裁判に必要な書類を集めると約束をして退席しました。
法律事務所に行く前にはあんなに意気込んでいたのに、帰りには悪いことをしているような気分だったような気がします。
そんな時に持つべきものは「友」です。
私はこれまでから、仕事のことや家庭のことについて相談していた友達に、法律事務所に行ってきたことを伝えました。
その友達は、仕事上、法律事務所に詳しかったので、自分の知っていることを色々と教えてくれたり、アドバイスをしてくれました。
私の話を誰よりも共感し、真剣に聞いてくれました。
ありがたいです。
その友達がふと「今度もう一度、きちんと(元旦那さんと)話をしてみたらどうか。その時は二人だけで話し合うのではなく、私の実兄に同席してもらってみてはどうか?」と言ってくれました。
私の頭にはない考えでした。
私は「なるほど」と思い、さっそく兄に連絡を入れたところ、兄は快く同席すると返事してくれました。
ありがたい話です。
いつもはほとんど交流のない兄妹関係だったのに、肝心な時にちゃんと味方になってくれる頼もしい兄だと、改めて思いました。
そして、そんなアドバイスをくれた友達にまた感謝しました。
それで、兄と私、元夫の3人で離婚届を前に置いて話し合いをしました。
私は弁護士さんに相談に行ったことや、ただ離婚してほしいだけだということを必死に話しました。
それらを全部聞いた後、
兄が、ぼそっと。
「これ以上今の状態を続ける意味が何かあるんかな?」と元夫に聞きました。
そしたら、元夫が、本当にあっけなく
「今度の週末に、ここに印鑑を押して渡す」と言ったのです。
私は(こんなもんなのだな)と思うくらい本当にあっけなく、離婚の話が進みました。やっと終わったという感じがしました。「家を出る」と宣言してから丸3年、家を出てから約2年かけて、やっと離婚できるまでたどりつけました。
その週末に元夫に離婚届をもらいに行き、保証人の兄にサインをもらい、そのまま市役所に行き、日曜日に窓口で当直をされているおじさんに離婚届を提出し、スキップをするような気持ちで家に帰りました。
何もかもに感謝でした。
ひとりさんに質問のコーナーの中で、離婚した後元夫のことで悩んでいると相談をされている話があります。
ひとりさんは「そんなだんなが傍にいなくなっただけで幸せ」というような話をされていました。
私はその意見に大賛成です。
とにかく、合わない人と一緒にいなくてもよくなっただけで幸せです。
離婚原因の第1位は性格が合わないです。
離婚をおすすめするわけではありませんが、ひとりさんは「我慢からは恨みしか生まれない」とよく言われています。
その通りだと思います。我慢して恨みをもつより、違う方法を選ぶことによって成長や喜びが生まれると思います。
今だから言えること、そしてひとりさんの考えに出会ったからこそ言えることですが、夫には結婚と離婚を通して様々な経験と学びを与えてくれたことに感謝しています。
ひとりさんの言われるように「結婚って修行だから、自分にとって一番相性悪いのが出てくると、それと結婚しちゃうようになってるの」「結婚すること自体が修行なの」「一番いけないのは、旦那の性格を変えようとすること」「相手を支配しようとした時がダメなんだよな もめてる家は必ず主導権争いなんだよ」
全てひとりさんはお見通しです。
ほんとにいい修行をさせてもらいました。
つづく。